RSSC通学のため自宅のある信州上田から上京して1人マンション暮らしをしていたある日、昼飯はどうするかな、と考えていると突然携帯が鳴った。出ると少し渋い低音で「坪野谷だけど、これから出られる? 今豊島区役所にいるけど、渡したい物があるから。 会議の休み時間中だからそこからタクシーを拾って」とのこと。あわててマンションを飛び出しタクシーを拾い駆けつけた

 1階のロビーエレベーター前で坪野谷先生が待っていた。手招きしながら「タクシーまで使わせて悪かったね」と言い、紙袋を私に渡しながら「昨日、玉井さんと話して考えたけど、私がヨーロッパ旅行に行った時買ったこのワイン飲みながら、息子さんと腹をわって話してみて」と手渡され、恐縮していると待たせておいたタクシーまで送ってくれた。

 前日の授業「暮らしに役立つ経済と金融」でリアクションペーパー提出に手間取り、気が付いたら教室には私1人残されていた。冷や汗をかきながら待っていてくれた先生に提出すると、「急がなくていいよ」と笑顔で受け取りざっと目を通し、「玉井さんは、何歳になられます?」と聞かれ答えると、「僕が1歳上ですね、中小企業の後継者問題は深刻ですよね。まして息子にバトンタッチは簡単そうで難しい問題もありますね」と話された。「私がRSSCに来たのは、後継者問題を少し冷静に考える時間が欲しかったからです」と答えると、「今日はこの後予定があるけど後日ゆっくり話しましょう」と言われた。そして翌日、豊島区役所でこの「赤ワイン」を頂いた。

恩師の赤ワインで乾杯

 その週末、上田に帰省して早速息子たちと先生からの「赤ワイン」で乾杯をした。その時の写真を先生に送ると、良かったと丁重なご返信を頂いた。

 お陰さまでこの9月19日(私の75歳の誕生日)に、正式に息子を社長にすることが出来ます。坪野谷先生本当にありがとうございました。先生はRSSCの屋台骨です、今後も健康に留意され後進の指導をよろしくお願い致します。

 私にとって忘れる事が出来ないRSSCであり「恩師の赤ワイン」です。

9期本科修了生 玉井敏明