インド洋に沿って(コロンボ)

 RSSCは既に11期生を迎え、その数も1,000人に近く、私たち5期生などの出る幕でもないような気がしている。聞いてはいたが、リタイアしてからの一年は本当に早い。NHKの番組で、何も待っている楽しみがないから早い(諸説あり)と、教えられた。頷けるところもあり、寂しい気もする。

 そんな私は、5期生の中では“変ったところに旅行するのが好き”な人、と思われているらしい。現役のころは海外旅行もままならなかったが、RSSCに入ってからはRSSCの友人とインド、ネパール、スリランカへ行った。モンゴルへはウランバートルからの飛行機が来ずに、実現しなかった。パリ、ローマ、ロンドンに比べたら変わったところかも知れないが、それぞれインパクトのある思い出がある。

オアシスに生きて(ラダック・ラマユール)

 今夏は、息子と2人で列車とバス、ジープを乗り継ぎインド北部(印・パ・中国国境地帯)ラダック地方へ8日間、桂林の奥地へ10日間行ってきた。ラダックでは軽い高山病に苦しみながらも澄んだ空気が、桂林(興坪)では炎暑に悩まされたがマンゴージュースが、美味しかった。桂林のマンゴウは巨大だが美味しかった。

 この2か所で鮮明に残っているのが、インダス河上流のオアシスとそこから急激にそびえ立つ5、6千メートル級のカラコルム山脈に連なる岩山だ。私のオアシス観は“優しくて心が癒されるところ”だったが、以降は“唯一生命を営むことができる場所”に変わった。

山水画全貌(桂林・興坪)

 興坪では、あの山水画のような山(大面山440m)に登り、全方位が山水画の世界に浸りながら暑さを忘れることができた。

 険しい山道で出会った小父さんとの筆談の笑顔がまぶしかった。アジアの自然と文化は、それぞれが個性的でおもしろい。

 RSSCには自分が持ち合わせていない経歴、経験を持っている方が大勢いて、今までの自分の殻をやぶるエネルギーとなった2年間だった。そしてその交流、友情はこれから先も変わらないであろう。

5期生 吉澤健春